2016年1月27日水曜日

クリヤ/ Kriya 考察 〜 クンダリーニヨガの秘技 〜

身体にフォーカスしたヨーガを学んでいると、「アーサナをとる」という表現をよく耳にします。

ヨガの八支則にもある、ヨーガのポーズや姿勢を示すアーサナ/坐法。

一般的には様々なアーサナのポーズを練習することが、ヨーガの練習法であると認識されているようです。


クンダリーニヨガは、「クリヤを練習」します。


クリヤ/Kriya は、ヒンドゥー語で「行動」「ある状態にあること」を意味します。

古代インドの言語サンスクリット語では、「行動」「実践」「功績」「労力」といった表現として使われます。


単なる行動以上の、物事が達成された行い(過去形であることがポイントです ^^ )であり、蒔いた種が花開くように、実現を導く一連の行動を指しています。

望みや願いを叶えるための取り組みであり、そのための活動、とも言えます。



クンダリーニヨガに於いてクリヤは、身体、思考、精神をひとつにし、最大の可能性を顕現させるための行動であり、効果的な実践法を指しています。

意識下にある意志が実現された状態を導くのが、クリヤです。




クンダリーニとは、私達に眠る隠された可能性。


それに気づき、可能性の源を開き、眠りを覚醒させるのがクンダリーニヨガの技法です。


クリヤはクンダリーニヨガの核にあるコンセプトとも云えます。




実際、どんなことをするのか、気になる所ですよね??



『クンダリーニって何?』 では案山子のような格好を5分間維持だとか、四つん這いで部屋の中を歩き回るだとか、とんでもない練習法を紹介していますね。笑



クリヤはアーサナ、呼吸、音の反復がひとつとなったエクササイズであり、時にメディテーションでもあります。



この反復こそが、目醒めを促す鍵です。






私達は成長する過程で、挫折や恐れ、消化しきれない思いを経験しながら、様々な処世術や対処法を身につけ、その中で生きてしまう傾向にあります。


可能性に溢れ、無尽蔵の生命の気を循環させながら本当の自分を生きられるのだということを忘れ、小さな枠に自身を閉じ込めてしまうのです。



味わった挫折は、例えば背中を丸めた姿勢となって現れることもあります。恐れは、腎臓機能の弱さを招くこともあります。



未消化の感情や思考は体の中でブロックや鎧となって、サラサラと流れる筈のエネルギー(気)を停滞させてしまうこともあります。


処世術や対処法は、身体や思考の使い方の癖や傾向として染み付いてゆくのです。




ある目的のためのクリヤのアーサナは、特定の筋肉に働きかけたり、特定のポイントに圧力をかけることで、分泌組織や器官を刺激し、排泄を促し、代謝や機能を高めます。



クリヤのメディテーションでのアーサナは、体と心のつながりを深めます。このつながりが達成されると、特定の体勢はその部位の体の中に滞っていた感情に働きかけ、ブロックや鎧は解け始めます。





クリヤはアーサナに動きを加えた反復運動を伴うこともあれば、マントラを繰り返し唱えることもあります。


同じ体勢をとり続け、ある呼吸のパターンを繰り返すこともあります。

そこにはいつも、リズムがあります。



反復のリズムは生命の躍動を促す、宇宙の創造の音楽のように私には感じられます。



このリズムに乗り、身体と思考は本来のあるべき姿へと動きだし、エネルギーはサラサラと流れ、宇宙に蔓延するプラーナと自身の内なる気の循環が起こるのです。




例えば案山子の様に腕を横に伸ばしたアーサナをとり、ただただ呼吸をしていると、当然ですが腕は段々痛みだします。

痛みから肩に力が入り過ぎていることに気づいたり、なんとか肩甲骨の位置を工夫しようともがいたり、そのうちに腕は下がり気が萎えることもあれば、先生の笑い声にムカついてきたりすることも(笑)、、、


習慣となっている体の使い方の癖や、自身のエゴに向かい合わずにはいられません。



しかしある時間そのポーズを保ち続けていると、クリヤのアーサナはそれが崩れていたとしても、その時点での体の中にハマる場所を見つけ、ある瞬間、思考の流れを劇的に変化させます。


反復のリズムに身体と思考が揃い、意識と無意識の壁がなくなるのです。



この時、無意識に刻まれている癖やパターンの書き換えが行われます。そしてそこには、新しいフォームが作り出されます。


この新しいフォームには、新しい可能性に満ちた書き込みを自身が行うのです。



意識されなくとも、新たに生み出された器が出来上がり、無限の可能性の扉が開き始めるのです。





クリヤの練習を続けていると、大きな宇宙との一体感の意識が高まります。


その一体感の意識は適切な行動力を育て、考えやその考えを伝える能力の核となります。


身体という有限の器の中で、無限の時を刻む意識との一体を行きてゆくことができるようになります。



そしてそれが人間の本来の姿です。



クリヤは今、現在という一瞬一瞬をより意識させ、濃厚に存在し続けるための練習でもあります。

その継続が「魂への道筋」を体の中に築き上げてゆきます。


魂とは、宇宙の創造の意識と一体のものです。



可能性に満ちた存在である自身に目醒め、本当の自分を生きながら人生を創りだすことを促すのが、クンダリーニヨガのクリヤの技法と云えます。




ヨガの技法は何千年にも及ぶ、身体、心、精神のたゆまぬ実践と実験から編み出された科学的技術です。


クリヤは身体、心、精神を束ね、小さな自分から無限の可能性を持った自分へと変容するためのテクノロジーなのです。




クンダリーニヨガのクリヤには細かい時間の設定が指示されており、時間はもちろん、行う順番を必ずきちんと守ることが重要とされています。


また、同じクリヤを何回か繰り返し練習するとその効果の絶大さに感嘆することがありますが、続けて毎日ある一定の期間練習することで、無意識下へとその効果が浸透します。


つまり、思考、分泌組織、神経組織に染み付いた無意識な連鎖による癖やパターンが、永久的に書き換えられるのです。


この詳細な時間や順番など数字による指示があるところが、私にとって、なんともソソラレテしまうポイントです。笑

幾世代ものヨギィ達が自身の身体、心、精神の観察と実験を繰り返しているところを想像し、ウキウキにやけてしまう私です。笑




西洋にクンダリーニヨガを伝えたヨギ・バジャンは、このヨーガの技術の結晶である数千ものクリヤを伝承し、私達へと残してくれました。


このクリヤ考察の最後に、彼が述べたクンダリーニヨガについての言葉を紹介したいと思います。

ヨーガの結晶であるクリヤの効果を正に表現している言葉だと、私は実感しています。





『クンダリーニヨガは、可能性と生命力を手に入れるためにあなたを解き放つ。そして最善のあなたへ、あなたの美徳へと到達させるのだ。』








今年最初のクンダリーニヨガのスペシャルクラスでは、クンダリーニを活性させるためにも重要な「丹田」にフォーカスしたクリヤを行います☆

来月はこの丹田についてアップしますね。